ミラノデザインウィーク2026を現地レポ|フォーリサローネ話題のブランドも紹介

毎年4月に家具最大の見本市「ミラノサローネ」の開催にあわせておこなわれる「ミラノデザインウィーク」が、2026年もミラノに帰ってきました。街中では回遊型の展示イベントとして「フォーリサローネ」が開かれ、有名ブランドから若手デザイナーの作品まで、多くのデザインで溢れかえります。
2026年は、RASIK LIFE編集部が現地でイベントの全貌をデザイナーチームとともに取材してきました。
本記事では、「ミラノデザインウィーク2026」で話題となったブランド・企業の展示やイベントを楽しむためのポイントを紹介します。デザイナーチームと回ったインテリアブランドのデザインについてもお届けするので、インテリアに興味がある人や2027年以降に参加を検討中の人もぜひ参考にしてみてください。
金融メディア編集長を経て『RASIK LIFE』編集長に就任。6歳の娘と妻、猫3匹と暮らす。一人暮らしの部屋作りで悩んだことをきっかけにインテリアに興味を持ち、現在は子育てやペットとの暮らしでも快適な家づくりを研究。自社で企画・生産・販売まで行う特徴を活かした記事制作で「失敗しない家具選び」をサポートします。フォロワー数100万人超えのRASIK公式インスタグラムでは商品・レイアウトも公開。保有資格は睡眠検定3級。
デザインと暮らしが融合する「ミラノデザインウィーク2026」
2026年4月21日(火)〜26日(日)に開催されたヨーロッパの大規模イベント「ミラノデザインウィーク」。ミラノ郊外、フィエラ会場で行われる家具の祭典「ミラノサローネ」や、市内で開催される「フォーリサローネ」などの総称で、開催中はミラノ全体がデザイン一色に染まります。
ミラノデザインウィークに参加する企業は、家具・インテリアのブランドに限らず、ファッション・コスメ・食品・テック・自動車メーカーなど、ジャンルもさまざま。ミラノ市内全土が会場となるため、朝から晩まで行動しても1週間では回り切れない規模です。
会場はブランドの店舗やショールームだけではなく、特設スペースを設けたり道端でインスタレーションがおこなわれたりと、日本ではなかなか見られない光景が広がります。
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2026年のミラノデザインウィーク「フォーリサローネ」は有名ブランドが勢ぞろい
「フォーリサローネ2026」では、ファッション・コスメで有名なブランドの家具やインテリアを展示。ミラノサローネのテーマを連想させるような、ブランドごとの核となる素材を活かした展示品が並びます。
2026年はフォーリサローネの常連である「ルイ・ヴィトン」や「エルメス」をはじめ、「ジルサンダー」・「H&M homes」など、名だたるブランドが勢ぞろいしました。有名ブランドの参加情報は開催前から話題となり、入場制限を設けたブランドも。数時間で参加枠が埋まる場合もあるので、事前の情報収集がミラノデザインウィークを楽しむためのポイントになります。
ミラノデザインウィーク「フォーリサローネ2026」で話題を集めたブランド集
ここでは、現地でとくに注目を集めた6つのブランド展示をピックアップして紹介します。一見するとラグジュアリーで特別な世界のように思えますが、実は私たちの日常のインテリアにも取り入れられる「色使い」や「ディスプレイ」のヒントが至る所に散りばめられていました。
ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)
2026年のフォーリサローネ2026で1番入場困難だったのが、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」です。2025年に引き続き、17世紀に建設された貴族の大邸宅 「パラッツォ・セルベローニ」で開催。ホームコレクション として、新作の発表がおこなわれました。
午前中に会場へ到着したものの、会場入りできたのは約2時間半後。会場が邸宅なこともあり、入場できる人数が限られます。
邸宅内にはソファやチェアを中心に、テーブルインテリアやリビングアイテムが部屋ごとに異なるテーマカラーでディスプレイされていました。鮮やかな赤やテラコッタ(オレンジ系)の部屋や、深みのあるディープブルーの部屋など、一歩足を踏み入れるたびに空間の雰囲気がガラリと変わる演出に圧倒されます。
なかでも目を引いたのが、トランクの要素を美しく落とし込んだドレッサー「セレスト」。ブランドのアイデンティティと職人技が融合した唯一無二のデザインは、ルイ・ヴィトンならでは。最高峰のクリエイティビティに触れ、インテリアの可能性を改めて実感できる空間でした。
エルメス(Hermès)
エルメス(Hermès)は、毎年ブレラ地区のイベント会場「ラ・ペロータ」を舞台に、独創的なインスタレーションを展開。
2026年は、白を基調とした広大な空間に木目のラインが美しく走る、巨大な立方体がいくつも立ち並ぶミニマルな世界観が広がっていました。
まるで美術館のような洗練された会場内には、新作の家具をはじめ、繊細な絵付けが施されたテーブルウェアなどがアートピースのようにディスプレイされています。
なかでも目を引いたのは、上質な素材感が一目で伝わるカシミアのブランケットや、丁寧なステッチが施されたレザーを纏った花瓶です。極限まで無駄を削ぎ落とした幾何学的なデザインと、洗練されたアースカラーの色使いは、素材そのものの美しさを引き出す部屋づくりの手本になるでしょう。
ジルサンダー(Jil Sander)
ファッションブランド「ジルサンダー(Jil Sander)」は、高感度なインテリア雑誌『apartamento』とコラボレーションした「REFERENCE LIBRARY」を開催しました。
1枠60人限定の完全予約制で、予約開始直後にすべての枠が埋まるほど開催前から大きな話題を集めたイベントです。運よく初日の予約を確保して訪れることができました。
会場に入ると、鏡面仕上げの美しい台座が整然と並ぶ、シンプルで洗練された空間が広がっています。
入場時に手渡されるオリジナルの白い手袋をはめ、スポットライトに照らされた60冊の本を実際に手に取って見て回る体験型のインスタレーションです。静かな空間のなかで、一冊一冊の本のデザインや言葉と丁寧に向き合う時間は、衣服や家具の枠を超えた「暮らしの豊かさ」を感じさせてくれる、とても貴重な体験となりました。
イソップ(Aesop)
スキンケアブランドの「イソップ(Aesop)」では、プレスDayに一足早く特別な展示を取材してきました。
歴史ある教会のような荘厳な空間を舞台に、「The Factory of Light」と題したインスタレーションを展開し、ブランド初となる照明機器(ランプ)を発表。一歩なかに入ると、イソップならではの心地よい香りに包まれた幻想的な世界が広がります。
印象的だったのは会場中央に広がる、まるで大きな波のようにも見えるうねり。実は、すべてイソップを象徴する琥珀色の小瓶を無数に並べて作られたものです。
歴史的な建築の重厚感と、琥珀色のガラスが放つ温かみのある光、そしてモダンなランプの融合は、単に「明かりを灯す」だけではない、光と香りで空間をもてなすインテリアの奥深さを感じさせてくれました。
エイチアンドエム ホームズ(H&M homes)
「エイチアンドエム ホームズ(H&M homes)」は歴史あるクラシカルな宮殿を舞台に、部屋ごとにガラリと異なる世界観を楽しめました。美しいフレスコ画や大階段が残る重厚な空間の中に、エッジの効いたモダンな家具やインテリアがミックスされています。
なかでも面白かったのが、もこもことした質感のソファモジュールが山のように積み上げられた部屋や、鮮やかなイエローの窓ガラスと鏡面を組み合わせたスタイリッシュな空間です。 窓から差し込む鮮やかな黄色の光が、鏡面の床や台座に美しく反射し、古い宮殿のなかに近未来的なアートが浮かび上がっているような不思議な感覚に。
アパレル発のブランドらしい自由な色使いや、異なる質感の組み合わせ方は、私たちの普段の暮らしにも取り入れやすい身近なヒントと楽しさに溢れていました。
暮らしにあわせて形を変えられるモジュールソファは、自由な組み合わせが可能なトレンド家具です。 間取りに合わせてサイズを調節しやすく、その日の気分で手軽に模様替えを楽しめる実用的な優秀さが、現代の暮らしにフィットして人気を集めています!
バイレード(BYREDO)
スウェーデンのフレグランスブランド「バイレード(BYREDO)」では、歴史ある回廊に囲まれた美しい中庭を舞台に、アーティストとのコラボレーション展示をおこなっていました。
緑豊かな芝生の上に並ぶのは、どこか彫刻のようでもあり、椅子のようでもあるユニークな木のオブジェたち。実はこれらはすべて、自然に落ちた「倒木」のみを使い、素材のライフサイクルを損なわないアプローチで作られたものなのだそうです。
なかには、日本の「墨」で仕上げられた深い黒色の作品もあり、古い建物の佇まいや新緑の美しさに見事なコントラストを描き出していました。
壁のくぼみにはバイレードおなじみのキャンドルが灯され、中庭全体が心地よい香りに包まれています。自然の素材を大切にするものづくりの姿勢や、香りとアートが溶け合う穏やかな空間は、これからの豊かな暮らしへのヒントをそっと教えてくれているようでした。
「フォーリサローネ2026」でデザイナーチームが注目したブランドの家具・インテリア
ここでは、今回の視察に同行したデザイナーチームが、プロの目線で特に強い刺激を受け、熱心に観察していたブランドをまとめました。単に美しいデザインを眺めるだけでなく、最新テクノロジーとの融合や、暮らしに寄り添う実用性の工夫など、未来のものづくりのヒントが詰まった3つのブースを振り返ります。
サムスン(Samsung)
サムスン(Samsung)の展示は、2026年の視察のなかで同行したデザイナーチームが最も衝撃を受け、一番の話題となったブースです。家電という「テクノロジー」が、インテリアの一部として溶け込んでいるその完成度の高さには、終始圧倒されました。
とくに驚いたのが、壁面に並ぶ鮮やかなアートパネルのようなプロダクトです。一見すると美しい壁面ディスプレイですが、なんとこれらは「電気コンロ」なのだそう。生活感を徹底して削ぎ落し、アートピースとして空間を飾ってしまうインテリア性の高さには、ただただ脱帽してしまいました。
また、現代的なミニマルデザインに落とし込まれたレコードプレーヤーのブースも印象的でした。昨今のアナログなリバイバルトレンドを、最新のテック技術とシームレスに融合させるその手腕には、デザイナーチームからも「デザインの魅せ方として本当に上手い」と感嘆の声が漏れるほど。
単に機能が便利なだけでなく、いかに暮らしの空間を美しく彩るか。テクノロジーとインテリアの融合の一歩先を行くサムスンの姿勢は、私たちのこれからのものづくりにとっても、大きな刺激とインスピレーションを貰える貴重な体験となりました。
モーイ(Mooi)
オランダ発のインテリアブランド「モーイ(Moooi)」は、2026年でブランド創設25周年の節目を迎えました。会場はオブジェのような美しい照明機器に彩られ、まるで光の森に迷い込んだかのような幻想的な空間です。
アート性が高いイメージのモーイですが、今回は実用性の高さを重視した新作も展示。使い方に合わせて三角形の背もたれを動かせるソファをはじめ、街中のショールームでも大々的に展示されていた今年の注目作「花びらのような一人掛けソファ」など、デザインと暮らしやすさが両立したプロダクトが並びます。
デザイナーチームは実際に触れたり使用したりと、各々が気になる展示品をじっくりと観察。 お互いのものづくり視点から熱心に話し合う姿を見て、「こうやって普段の自社の商品づくりでも、日々たくさんのアイデアを出し合っているんだな」と、そのプロフェッショナルな舞台裏を間近で実感でき、取材班としての率直に感動を覚えました。
ブース内では、同行したベテランデザイナーが若手デザイナーにブランドの歴史を説明しながら回る姿も。 その解説を一緒に聞くことで、取材班も「モーイがどのようなブランドなのか」を深く知ることができ、デザイナー同行ならではの視点と学びが得られる貴重な取材となりました。
カリモク(Karimoku)
日本を代表する木製家具メーカー「カリモク(Karimoku)」は、海外アーティストとのコラボレーションという新たな試みを発表していました。 日本の伝統的な「わびさび」を感じる美しい木工技術を残しつつ、グローバルに受け入れられる現代的なエッセンスが融合した見事なコレクションです。
会場では海外アーティストによるトークショーも行われており、国境を越えたものづくりへの想いが伝わる空間でした。
なかでも、同行したデザイナーチームが強い興味を示していたのが、木製のオープンラック。 棚の収納部分にロープやテキスタイルといった異素材を組み合わせ、空間に圧迫感を与えずに緩やかに仕切る「目隠し」の表現がなされており、その洗練された佇まいをじっくりと観察していました。
単に機能的な収納家具を作るだけでなく、異なる素材を美しく掛け合わせることで家具の新しい表情を引き出すという、日本発のブランドが世界に向けて提示する新しいデザインのあり方に、刺激をいただいた体験でした。
「ミラノデザインウィーク」を楽しむためのポイント
実際にデザイナーチームとともにミラノの街を歩き尽くし、世界最先端のデザインに触れて実感した、この大規模なイベントを120%楽しむためのポイントをまとめました。これから参加を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
事前の情報収集で「注目ブース」を絞り込む
ミラノデザインウィークは、とにかく規模が大きく1週間では回り切れないからこそ、事前のリサーチが勝負を分けます。とくに「人気の高い有名ブランド」をはじめ、「その年が節目(アニバーサリー)となるブランド」や「ブランド初の新作を発表する企業」は混雑必至で、事前の予約枠が数時間で埋まってしまうことも。どこを最優先で回るか、事前のチェックを徹底することが効率よく楽しむためのポイントになります。
ミラノデザインウィークには、SNSの公式アカウントや公式サイトがあります。半年前くらいから徐々に情報が解禁されていくので、気になるブランドは随時メモに残していくと回るスケジュールを立てやすくなりますよ!
デザインに正解はない。自分の「率直な感性」で捉える
歴史あるブランドの背景やプロの解説に触れるのも面白いですが、インテリアやデザインに「これが正解」という決まりはありません。誰に何をいわれようと、自分がその空間に立って「なんかこれ好きだな」「この色使いは心地いいな」と率直に感じたことこそが、正しい捉え方です。人それぞれの視点で、自由に、五感でデザインを楽しむことこそが、ミラノデザインウィークの本当の醍醐味なのだと感じました。
▼「フォーリサローネ」のおすすめエリアについて詳しく知りたい人は、以下の記事もあわせて読んでみてください。
まとめ
本記事では、ミラノデザインウィーク「フォーリサローネ2026」の現地レポートをお届けしました。名だたる有名ブランドからテック企業までが市内のあちこちで独創的な空間を作り上げた2026年。それぞれのアイデンティティや最新テクノロジーをインテリアとシームレスに融合させた展示の数々は、単に家具を配置するだけではない、空間全体の美しさや「デザイン性と実用性の絶妙なバランス」の大切さを改めて感じられました。
RASIK LIFEでは今後も、世界中の最新インテリア情報を独自の視点で発信し続けますので、これからのRASIKが提案する「新しい暮らしの形」にぜひご期待ください。
