「家具の臭い対策」と「照度や色味への意識」で快適な空間を作る|東北文化学園大学 建築環境学科 二科妃里准教授にインタビュー!

部屋作りの際に、インテリアだけでなく香りや照明にもこだわりたい人もいますよね。なかにはどの香りを使うか、どのくらいの明るさに調整するか悩んでいる人もいるかもしれません。
本記事では香りや照明、色彩の組み合わせによる人への影響を調査する「居住評価法」を研究されている、東北文化学園大学 工学部 建築環境学科の二科 妃里(にしな ひさと)准教授にお話を伺いました。

快適な空間づくりを研究する「居住評価法」

―本日はよろしくお願いいたします。まずは、住環境デザインに興味を持たれたきっかけを教えてください。
二科 妃里さん(以下、二科):幼少時代から家具に興味があり、不動産物件の間取り図に自分で家具を描き込んでいたんです。中学校、高校と進学するなかでインテリアにも興味を持つようになり、インテリアコーディネーターやデザイナーの道も考えていました。
住環境デザインに興味を持ったのは、大学の授業で室内の空気環境について学んだときです。健康で快適な生活のためには適切な換気や湿度、温度の管理が重要であることを知ったのが「居住評価法」を研究するきっかけになりました。
日々の生活には温度や音をはじめとしたさまざまな要素が影響しますが、居住評価法では空気環境に着目しています。シックハウス症候群やアレルギー問題に加えて、家具や建物の部材に使われる接着剤から出る化学物質が人間にどう影響するのか、対策法を含めて総合的に評価し快適な空間を作る方法を考える研究です。
ホルムアルデヒドなどの家具の臭い対策

―家具から化学物質の臭いがする場合、どのように対策すればよいのでしょうか。
二科:最近の家具は、低化学物質や低ホルムアルデヒドの接着剤を使う傾向がありますが、稀に臭いによる不快感で体調不良を起こしてしまう人もいます。
臭い対策で消臭剤を使う人もいますが、消臭剤は臭いを上書きするためのものなので一時的な対策にしかなりません。最も手軽な臭い対策は換気です。たとえばタンスの引き出しをすべて開け、扇風機やサーキュレーターの風を当てて臭い(化学物質)を排出します。この時、必ず部屋の窓を開けるようにしてください。手軽に移動できない大型家具の場合は、家具がある室内を換気するだけでも臭いが少なくなると思います。
根本的に対策するなら、部材を日光に当てて温度を上げ、化学物質を蒸発(揮発)させて排出する方法がおすすめです。
季節や家具に含まれる化学物質の量などによって必要な日射時間は変わりますが、基本的には24時間ほど置いておくとよいかもしれません。それでも臭いが残っていると感じるなら、さらに時間を延ばしてみてください。効率的に蒸発させたい場合は、黒いビニール袋で家具を覆い光を集中させると温度が上昇しやすくなります。
また、石油ファンヒーターをはじめとした暖房器具で温度を上げて化学物質を排出する方法もあります。家具から発生する化学物質(揮発性有機化合物(VOC))は、温度が上昇するほど揮発しやすくなるという特性をもっています。強制的に室内温度を上げることで建材や家具に含まれる化学物質の揮発を促進し、建材や家具に含まれる化学物質を排出させます。化学物質の量が減れば、当然室内に放散される量も減るので、室内の化学物質濃度が下がります。この効果を狙ったのがベイクアウト法です。
- 1.窓を閉鎖する
- 部屋の窓をすべて閉め切ります。
- 2.室内温度を上げる
- 温度は35度~40度ぐらいまで強制的に上げます。加湿器で湿度を60%程度にすると効果が上がります。また、室内の温度・湿度が一定になるように、扇風機などで空気を攪拌(かくはん)するとさらに効果が上がります。
- 3.一定時間放置する
- 少なくとも半日以上、できれば数日置くと効果が高くなるとされています。
- 4.換気をする
- 部屋の窓を全て開けて放出された化学物質を外に排出します。室内に臭いが残っている場合は、しばらく窓などを開けて換気をしましょう。室内温度を上げると家具だけではなく、室内全体から臭い(化学物質)が多く排出されますので、必ず1時間以上換気を行ってください。
作業後の換気が中途半端だと、部分的に化学物質の室内濃度が高くなってしまい、さらに体調を悪化させる可能性があるので注意が必要です。実施するときには専門家に相談したほうがよいでしょう。
ベイクアウトの際は石油ファンヒーターなどの暖房器具を使うのがおすすめです。エアコンを使う場合は、室温は高くなりますが、部材自体の温度を大きく上げることは難しいと思います。
一部の臭いが気になる場合は、ドライヤーでピンポイントに熱風を当てる方法も早いかもしれません。ただし、家具によっては熱で変形してしまう可能性もあるので、注意が必要です。部材の様子を見つつ作業するようにしてください。ドライヤーを使用する際も、室内に化学物質が残らないよう必ず換気をしましょう。
また、ベイクアウト法は化学物質の中でもトルエンのように乾いてしまうと新たに揮発しない物質には有効的ですが、ホルムアルデヒドのように接着剤や塗料内に存在する限り揮発し続ける物質には効果が低い可能性もあります。
ホルムアルデヒドは水溶性なので、水拭きで拭いてから外に立てかけるのが効果的です。木製家具の場合は湿気によりカビが発生する可能性があるので、水拭き後は十分に乾燥させてください。
また、家具が手元に届いてからすぐ組み立てると臭いが部屋全体に広がり、不快に感じやすくなってしまいます。臭いが気になる場合は、開封した直後に天日干しをするのがおすすめです。室内に化学物質が残っていると体調不良の原因にもなり得ますので、必ず換気をしながら対策方法を実施してください。
快適な部屋づくりのコツは「香り・照度・色味」

―居住評価法の観点から見た「心地よい環境づくり」のポイントを教えてください。
二科:心地よい環境づくりには、香りや光のバランスが重要です。さまざまな条件下で学生に計算問題を解いてもらう実験では、リラックス効果のあるラベンダーやグレープフルーツの香りがする部屋に適切な照度を設定した場合、正答率が上がり集中力も高まるという結果が出ました。一方で照度が適切でない部屋は、いい香りがする部屋でも不快感を覚え、正答率が下がっています。
また、赤色のようなパキッとした刺激的な色よりも、ブルーや水色のような寒色系を使った部屋のほうが正答率や問題を解くスピードが上がる傾向が見られました。集中力を上げたい人は、寒色系のインテリアを選ぶのがよいと思います。
リラックスできる部屋を作りたい人は、ブルーやグリーン、グレーなどの色を中心に作るとよいかもしれません。また、ベージュのような自然の色味に近い色もおすすめです。リラックスしやすいだけでなく、白い壁が多い日本の住宅でも使いやすい色ですね。
反対に赤色や黄色、ショッキングピンクのような刺激の強い色や明るすぎる色は脳に刺激を与えてしまいます。寝室のインテリアを考える際は避けるべき色かもしれません。どうしても使いたい場合は、部屋のアクセントとしてクッションや小物に使うのがよいでしょう。
色の出方は素材によっても異なります。リラックスできる部屋を作りたい人は、自然素材のインテリアを活用すると温かみのある色彩構成にしやすくなりますね。
そのほかにも照明選びでは色温度が重要です。細かい作業や勉強をする部屋では、手元が暗いと目が疲れてしまいます。色温度が高い青色や寒色系の光を使うのがよいでしょう。一方でリビングダイニングのような生活空間では、料理がおいしく見える暖色系の照明をメインに使いながら、テレビや作業スペースの周辺に寒色系の間接照明を使うと快適に過ごしやすくなると思います。
照明や香りにこだわった寝室づくり

―ご自宅の寝室づくりでこだわっている点を教えてください。
二科:睡眠の質を上げたいと考えているので、リラックスできる寝室づくりを心がけています。色彩面ではベージュをはじめとした自然界に近いような色合いを中心に使っていますね。
また、照明は部屋の雰囲気を大きく左右する要素だと考えているので、照明選びにもこだわっています。寝室には間接照明や調光ライトを置いて時間帯にあわせて明るさを調整できるようにしました。加えて柔らかな暖色系の照明を選んで、リラックスした状態で寝られるよう意識しています。
あとは、アロマオイルやエッセンシャルオイルも活用しています。リラックス効果があるラベンダーやカモミールなど、日々の疲れが取れるような香りを使っていますね。
インテリア選びは部屋全体との調和を重視している

―インテリアを購入する際のこだわりを教えてください。
二科:インテリアと壁紙や床材の色味に統一感を持たせると家具を活かしやすいので、インテリア選びでは部屋全体の色味との調和を重視しています。
基本的に落ち着いたカラーを使いつつ、部屋全体が暗くならないよう少しビビットな色味のクッションや小物などで色構成を整えています。インターネットで購入する機会が多いので、素材感や使い心地に関する口コミも確認することが多いですね。
商品のバリエーションがRASIKの魅力

―RASIKのことはご存じでしたか?
二科:実は、以前引っ越しで家具の買い替えを検討する際、RASIKさんのサイトを見ていました。
第一印象はシンプルでおしゃれ、デザインと機能性を両立させているブランドだなと思いました。あとは、ベッドの種類が多いですよね。機能性を重視して選べたり、空間デザインにあわせて選べたりするのはいいなと思います。
サイズや素材の幅広さも魅力的ですね。さまざまな広さの部屋がある日本の住環境にあわせやすいインテリアが多いと感じました。
住環境デザインの観点から見た場合でも、パイン材すのこベッドのように自然の素材を使った商品は、室内の調湿や暖かみのある空間づくりに役立ちそうですね。
自分自身の個性や考え方を活かせるようになってほしい

―最後に、授業で大切にされていることや学生へのメッセージがあればお願いします。
二科:授業では実践的な学びや自分で考える力を伸ばすことを大切にしています。業界を問わず、知識だけで仕事をするのは難しいのではないでしょうか。私は実際に手を動かして経験することが大切だと考えています。
学生にも自分のアイディアや考えを具体的に表現してもらい、それが発表や成果に繋がるようサポートしています。課題や授業を通じて、学生が自分自身の個性や考え方で問題に対応できるようになってほしいですね。
―素敵なメッセージをありがとうございます。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
【東北文化学園大学 工学部 建築環境学科 准教授 二科 妃里】
2007年東北文化学園大学科学技術学部住環境デザイン学科卒業。東北文化学園大学大学院 健康社会システム研究科 生活環境情報専攻 博士課程後期修了。博士(生活環境情報)。
2015年に(社)日本空気清浄協会「第33回空気清浄とコンタミネーションコントロール研究大会」会長奨励賞を受賞。
主な著書に「シックハウス対策マニュアル」「健康・快適な住宅づくりのチェックポイント」。
東北文化学園大学 建築環境学科では「建築インテリア製図」「インテリア環境Ⅰ・Ⅱ」「健康インテリアⅠ」「健康リフォーム演習」などの授業を担当。