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新鮮な気持ちで過ごせるインテリアの整え方|文化学園大学 造形学部 丸茂みゆき教授にインタビュー!

新鮮な気持ちで過ごせるインテリアの整え方|文化学園大学 造形学部 丸茂みゆき教授にインタビュー!
2024年7月29日

部屋の模様替えをした結果、使いにくい家具配置になってしまった経験を持つ方もいるのではないでしょうか。インテリアを見直す際は、買い替える家具のデザインや配置場所に注意が必要です。

今回は、インテリア配置や模様替えのコツについて、文化学園大学造形学部建築・インテリア学科の丸茂みゆき教授にお話を伺いました。

目次

監修者
『RASIK LIFE』編集長
工藤 智也

2023年にRASIKを運営する株式会社もしもへ入社後、『RASIK LIFE』編集長に就任。自身が持つ不眠症の悩みをきっかけに、寝具について学ぶ。睡眠検定3級。商品の企画・生産・品質管理・販売までを一貫しておこなっている会社の特徴を活かし、実際に商品をチェックしながら記事を作成。フォロワー数24万人超えのRASIK公式インスタグラムでは、商品のレイアウトなども公開中。
公式:インスタグラム

外国人居留地の家具からインテリアに興味を持った

自宅のインテリアを紹介する丸茂教授の写真

―本日はよろしくお願いいたします。まずは、インテリアに興味を持ったきっかけを教えてください。

丸茂 みゆきさん(以下、丸茂):私は横浜市の出身で、自宅周辺に外国人の居留地がありました。小学生の頃に居留地の住宅にある家具が、自宅の家具と違うデザインだったことを不思議に思いインテリアに興味を持ったのが最初のきっかけです。

それから、自宅の改装を機に生活に対する意識が芽生え、よりインテリアに注目するようになりました。家に置く家具を決める際も、家族のなかでほぼ私が決めていたと思います。

―子どものころからインテリアに強い興味があったのですね。

丸茂:家族と一緒に家具のお店に行って、「この家具がいいね」「あれもいいね」と自由に言っていました(笑)。

私自身が、ものを作ったり絵を描いたりするのが好きだったことも、きっかけのひとつです。身につけたスキルを自分の仕事や社会に役立てる方法を考えた結果、インテリアを学ぼうと決意したんです。

当時はインテリアを専門的に学ぶ方法が分からず、美大や住居学科、工学部などさまざまな大学を検討しました。そのなかで、インテリアが生活と密接な関係を持つことに気づいて、文化女子大学(現:文化学園大学)の生活造形学科に入学しインテリアデザインコースに進みました。

インテリアやライフスタイルを寸法から考える

「建築設計資料集成」を見せる丸茂教授の写真

―続いて、文化学園大学の教壇に立たれたきっかけを教えてください。

丸茂:大学でインテリアを学ぶなかで、世の中の人々がインテリアをあまり意識していないことに気づいたのがきっかけです。

当時はまだ「室内装飾論」という言葉が残っており、現在のインテリアの知識として扱われる内容を意識している人が少ない時代でした。そこで大学卒業後はこれから学ぶ人に役立つことがしたいと思っていたときに、教授から大学の助手として働かないかと誘われたんです。

そのころの文化学園大学にはインテリア系の大学院が無かったこともあり、教授は私を助手として素養を身につけさせて、ゆくゆくは先生として推薦しようと考えてくださっていたのかもしれません。

助手として教授の隣であらためて授業を聞き、内容を深く理解するなかで私から学生に伝えられることがありそうだと思えました。そこで採用試験を受け、講師、准教授を経て現在は教授として働いています。

―教授としては、どのような研究をしていたのでしょうか。

丸茂:はじめはインテリアやライフスタイルを、家具の寸法や配置、使い方から研究することと、色や形に関係したデザインをしていました。間取りや家具の寸法の計測、家主へのインタビューなどを通して、さまざまな家に足を運びましたね。

当時の資料では、チェストやタンスと呼ばれるような高さが180センチ位の収納家具が主流だと思われていたのですが、実際に使われている家具を計測してみると、スマートでもっと高さのある収納家具が使われていることが分かりました。

また、調査した家庭によってソファの使い方が異なっていたことも印象に残っています。床に座って座面を背もたれにしたり、前にある机の上に足を乗せて座っていたりと、家庭ごとの使い方がありました。私たちが学んできた家具と実際に使われている家具の間には、寸法や使い方に違いが生じていたんです。それを具体的なデータとしてまとめていきました。

―インテリアをデータ化するのは難しそうです。

丸茂:確かに、データ化するのは難しかったですね。でも、寸法の面を数値化したデータは好評でした。教科書や資料集で使いたいので、研究データを使わせてくださいと言われたこともあります。

「建築設計資料集成」という建築系の学校で使われている設計資料をまとめた本があるのですが、インテリアに関する部分を抜き出した「コンパクト版」を作る時にたずさわり再確認した事を思い出します。

資料では、医療空間やベッドの寸法、JIS規格についても解説されています。実は、学校に置かれている椅子も、一定の寸法以上のサイズで作るよう定められているんです。コンパクト版では、そうしたデータをインテリアに関わる授業で使いやすいようにまとめています。

私は飲食店やホテルに関するインテリア事例の部分を担当したのですが、学生に参考にして欲しい寸法や素材の使い方がわかる資料を多く掲載する様にしました。

インテリア選びのポイントは「新鮮な気持ちで使えるか」

模様替えの様子を比較した丸茂教授の自宅の写真

―続いて、自宅のインテリア作りでのこだわりを聞かせてください。

丸茂:5年前に家を建て替えたのですが、自分の暮らしを通した経験と仕事での経験をふまえてインテリアを選びました。たとえば照明器具は、間接照明やダウンライト、スタンドを多めに設置し、実験的にさまざまなライティングで過ごせるようにしています。

また、家の寸法やインテリアを決める際、最初に部屋のスタイルを決めました。使う素材と色を決めることが整った印象の部屋にするには大事なのです。それから家具配置、部屋での過ごし方のパターンを考え、実現するための部屋を作っていきました。そのため、間取りと家具は同じタイミングに決めていましたね。家ができる1年前にソファを買って、仮住まいでも使っていました。

―建て替えにあたってどんな基準で家具を選んだのでしょうか。

丸茂:家具の配置を変えてもインテリアとして成り立つように選びました。

部屋がいくつあっても、身体はひとつです。過ごす部屋は限られてしまうので、同じ配置で暮らしていると、やがて飽きてしまいます。

そこで、新鮮な気持ちで過ごせるようにアクセントを付けられたり、位置を変えられたりする家具を選んだんです。

昇降式のテーブルを活用したリビングダイニング

昇降式のテーブルが配置された丸茂教授の自宅リビングの写真

―自宅のインテリアで気に入っているものはありますか?

丸茂:2階リビングのテーブルです。昇降式なのでソファの高さに合わせたり、ダイニングテーブルとしても使えます。横にも伸ばして展開できるので、多くの人数が座れる点もお気に入りです。ソファも背もたれを自由に移動できるタイプを選んだのでテーブルと一緒に配置変えが出来ます。

また、ソファや椅子の座面の高さを合わせることで、来客時にはキッチン横のカウンターも使って部屋全体で食事を楽しんでいます。カウンターはオンラインで仕事をする際にも活用していますね。キッチンが近いので飲み物をすぐ取りに行けるので、嬉しいです(笑)。

1階にもテーブルを置いているのですが、同様に配置や使い方を変えています。今は玄関にテーブルを置いて、夫の趣味である自転車の整備スペースとして活用していますね。

こまめに模様替えをするなら長方形のテーブルがおすすめ

ダイニングテーブルを配置した丸茂教授の自宅リビングの写真

―こまめに模様替えをする方におすすめの家具を教えてください。

丸茂:テーブルの位置を変えるのがよいのではないでしょうか。テーブルはある程度の時間を過ごす家具なので、位置や向きを変えるだけで部屋の雰囲気がぐっと変わります。

長方形のテーブルなら、壁沿いに置いてカウンターのように使えますね。横に置いていたのを縦にして、座る向きを変えるだけでも新鮮な気持ちで過ごせるかもしれません。

また、収納家具と比べて動かしやすい点も模様替えに適しています。ソファよりも部屋の端、中央どちらにも置くことができますしね。模様替えの際は、テーブルを中心にほかの家具を動かすと模様替えを楽しめると思います。

中庭とブラインドを活かした寝室作り

寝室から見た丸茂教授のリビングの写真

―自宅の寝室作りでこだわった点はありますか。

丸茂:寝室の窓には、ブラインドを活用しました。日の出が遅い冬場はブラインドを軽く開けて、夜空を見ながら眠っています。

自宅を作る際に中庭を設けて、さまざまな日差しの入り方を試せるようにしたんです。その工夫を活かすため、カーテンと比べて日差しの入り方を調節しやすいブラインドを付けています

―中庭の窓を介して、リビングにある大きな窓が見えるのも素敵です。

丸茂:狙って設計してみましたが、気持ちのよい仕上がりになりました。リビングの照明が寝室の方までふんわりと届くので、寝室の雰囲気作りにも役立っています。

RASIKの家具は若い人でもテイストを揃えやすい

RASIKの家具を配置したワンルームの写真

―RASIKの家具を見た印象はいかがでしたか?

丸茂:料金がリーズナブルで、部屋のテイストを整えやすい家具を揃えられていますよね。

色や寸法、テイストが合ってないと使いにくいのは、金額が高い家具でも同じことです。反対にテイストが揃っていれば、50万円の家具と5万円の家具を組み合わせても違和感がないと思います。

家具のテイストを揃えやすいから、部屋にアクセントも付けやすいでしょうね。少しアイアン素材を入れてみたり、赤や青の差し色を入れたりしてみて、素材と色にこだわった自分ならではの心地よい空間が作れると思います。

若いうちにインテリアを揃えたいと思ったときに、「この値段なら自分でも選べる」と思える家具ブランドは貴重ではないでしょうか。

学生には「よりよい仕事をする意識」を持ってほしい

資料集成を見せながらメッセージを話す丸茂教授の写真

―最後に、学生に向けてのメッセージをお願いします。

丸茂:学生には、「自分が手がけるものを、よりよくするにはどうしたらいいか気にかけられる人」になってもらいたいと思っています。

インテリアや建築は、相手の生活に踏み込む仕事です。その際に、相手の気持ちに寄り添えるような感覚を持ってほしいですね。たとえば生活だけでなく、隣の家のことや前の道路の様子まで聞いてみることが大切です。そのうえで、住む人が気がつかないぐらいの解像度が高い提案ができると、専門家に頼んでよかったと思ってもらえるのではないでしょうか。

そこまでの想像力を働かせたいと思えれば、自分の生活や人間関係も含めて、人生が豊かになります。

また、学生たちには「アドバイスを素直に聞ける人は成長するよ」と伝えています。

自分の意見が違っても、一度聞いてみて、相手の立場から考える。コミュニケーションができる人ほどうまくいくと思うんです。どの仕事でもそうだと思いますが、人の話や意見を聞くという経験は、建築やインテリア以外の業界でも活きると思います。

―素敵なメッセージをありがとうございます。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

【文化学園大学 造形学部 建築・インテリア学科教授 丸茂みゆき】
1987年文化女子大学(現:文化学園大学)家政学部生活造形学科卒業。
「住まいのリフォームコンクール」審査員や日本建築学会が発行するインテリアに関する書籍の編集に関わる。
文化学園大学 建築・インテリア学科では「インテリアと建築」「インテリアデザイン演習Ⅲ」などの授業を担当。国産材「東京の木」を活かす産学連携授業として学生指導や作品制作を行っている。