「ミラノサローネ2025」世界最大の家具・インテリアの祭典!会場やサローネサテリテの現地レポ―トをお届け

毎年4月に開催される家具の祭典「ミラノサローネ」は、イタリアの首都・ミラノでおこなわれています。世界中からさまざまなブランドが集まり、最新のインテリアが展示され、2025年は約30万人を超える来場者となりました。
世界最大の家具見本市といわれる「ミラノサローネ」を、2025年もRASIK LIFE編集部が現地で取材しました。そのほかにも、本記事では会場までのアクセス方法や若手デザイナーの登竜門「サローネサテリテ」の様子、事前準備の詳細から2026年の開催日まで詳しく紹介します。

来場者数約30万人を超えたミラノサローネ2025とは?

ミラノサローネ2025は、世界最大規模を誇る家具見本市です。正式名称は「Salone del Mobile.Milano(サローネ・デル・モービレ・ミラノ)」。毎年4月に開催されています。
ミラノサローネ2025の日程は、2025年4月8日(火)〜13日(日)の6日間。37カ国・2103社の企業・ブランドが出展し、来場者数は約30万人を超えています。
ミラノサローネ2025のテーマは「Thought for Humans(人間のための思索)」

2025年度のミラノサローネのテーマは「Thought for Humans(人間のための思索)」です。デザインの進化は、人々の暮らし・ものづくりにどのような影響をもたらすのかといった問いがテーマでした。
会場内に並ぶインテリアや家具は、その問いに答えるかのようにサステナブルな素材を使った商品やデジタルテクノロジーと融合した商品が目立ちました。
各ブランドやメーカーが、多方面からテーマを追求をしたデザインになっているのがポイントでしょう。テーマをもとに商品を見ていくと、デザインのトレンドや発想も見えてきます。
ミラノサローネ2025は「Rho, Fiera Milano(ロー・フィエラ ミラノ)」で開催

メイン会場は、「Rho, Fiera Milano(ロー・フィエラ ミラノ)」で開催されました。ミラノの郊外にある地区で、駅から会場まで直結しています。
「Rho, Fiera Milano(ロー・フィエラ ミラノ)」までのアクセス方法

「ロー・フィエラ ミラノ」までは、ミラノ市内から電車1本でアクセスできます。乗車時間は約30分です。
会場がある駅は赤いM1ラインの終点。電車は、ミラノを象徴する大聖堂「ドゥオーモ(Duomo di Milano)」があるDUOMO駅に繋がっているので、利便性のよい沿線に会場があるのもポイントです。
8つあるミラノサローネ2025会場

会場は全部で8つあり、1つのエリアに2つの会場が組み合わさった構成です。一つひとつの会場は、東京ドームと同じくらいの広さがあるため、1日では回りきれません。
また、会場では複数のエキシビションがおこなわれます。
Salone Internazionale del Mobile(サローネ・インターナショナーレ・デル・モービレ)

「Salone Internazionale del Mobile(サローネ・インターナショナーレ・デル・モービレ)」は、世界各国のインテリアブランドやメーカーが出展するエキシビジョンです。
最新デザインや技術を発表する場であり、その年の注目商品を見れます。8つあるうちの6つが「サローネ・インターナショナーレ・デル・モービレ」の会場で、ブランドごとにブースが分けられているのがポイントです。
Salone Internazionale del Complemento d’Arredo(サローネ・インターナショナーレ・デル・コンプリメント・ダルッレード)

「Salone Internazionale del Complemento d’Arredo(サローネ・インターナショナーレ・デル・コンプリメント・ダルッレード)」は、インテリア小物を中心としたブランドやメーカーが出展するエキシビジョンです。
「サローネ・インターナショナーレ・デル・モービレ」と同様に、最新デザインや技術を駆使した商品が展示されています。食器や花瓶、アートなどをメインにインテリアや家具を彩る小物を見ることができるので、小物を展開するブランドからの注目度が高いエキシビジョンです。
Salone Satellite(サローネ・サテリテ)

「Salone Satellite(サローネ・サテリテ)」は、35歳以下の若手デザイナーが作品を展示するエキシビジョンです。若手デザイナーの世界的な登竜門として知られており、厳正な審査によってその年の受賞作品が決まります。
サローネ・サテリテは、サローネ・インターナショナーレ・デル・モービレの一部の会場で開催。受賞作品は開催2日目に決定します。2025年は、130を超える作品が出展。各国の若手デザイナーが手がけた作品を見ることができます。
偶数年と奇数年では開催されるエキシビジョンが異なる

ミラノサローネでは、モービレやコンプリメント・ダルッレードのほかに、偶数年と奇数年で異なるエキシビジョンも開催されます。
2025年は企業向けの家具やインテリアを展示した「Workplace 3.0(ワークスペース)」や照明器具をメインにした「Euroluce(エウロルーチェ)」の展示がおこなわれました。
2026年は偶数年のため、キッチン用品を中心とした「EuroCucina(エウロクチーナ)やバスルームがメインの「Salone Internazionale del Bagno(サローネ・インターナショナーレ・デル・バーニョ」が展示予定となっています。家具やインテリア以外の生活用品を見たい場合は、各年ごとに開催されるエキシビジョンをリサーチしておくのがおすすめです。
入場はセキュリティチェックが必要

入場する際は、セキュリティチェックを受ける必要があります。RASIK LIFE編集部は、一般公開日の初日から参加。午前中に到着し混雑していましたが、セキュリティの機械が複数設置されているので、比較的スムーズに入場できました。

セキュリティチェックを受けると、次はチケットの入場確認です。チケットは紙に印刷したりスマートフォンにダウンロードしたりしておくと、スムーズに入場できます。
会場内ではWi-Fiが使える

会場内では、すべての場所でWi-Fiが使用できます。無料のWi-Fiは接続の手間も少ないのがポイント。到着したら接続しておくのがおすすめです。
専用のWi-Fiの案内は、会場のさまざまな場所に記載されています。登録作業などの必要もないので、英語やイタリア語が苦手な方にも安心です。
ミラノサローネ2025の会場内の様子

ミラノサローネの会場は、基本的に写真撮影がNGです。編集部は、会場内の各ブランドごとにスタッフに撮影許可を得て取材しました。

会場内はブランドごとにブースが分かれており、さまざまな商品がレイアウトされているのがポイントです。

ブース内では、デザイナーによる説明や商談がいたるところでおこなわれています。展示品は、実際に触れたり試したりすることが可能。業界関係者だけでなく、インテリアや家具が好きな一般の人も楽しめます。

編集部も実際に商品の使用感を試して確認しました。見た目とは異なる座り心地だったり、体へのフィット感だったりと、商品の実際の質感を体験できます。
また、商品のデザインや使用している素材などを細部まで見られるのも魅力かもしれません。各国のディーラーやデザイナーたちが注目する点などを間近で観察できるのも、ミラノサローネに参加する醍醐味です。

ボタンひとつでベッドが上下に可動したりと、2025年度のテーマを連想させる商品がいくつも展示されていました。リビングにベッドを置く場合や部屋が狭い場合など、最新技術を駆使して空間を有効活用できる家具もあります。
デモンストレーションとして、実際にスタッフが動きを見せてくれるので、実用性も確認可能です。

会場の一部には、奇抜な空間デザインをしているブースもあります。SNS映えするスポットとして、展示物は多くの人の注目を集めていました。
家具やインテリアの空間デザインに注目するのもミラノサローネの楽しみ方です。
サローネサテリテで日本人の長澤一樹さんが最優秀賞を受賞

「サローネサテリテ・アワード2025」では、日本人デザイナーとして活躍する長澤一樹さんが最優秀賞を受賞しました。今回は、現地で直接ご本人から作品の特徴やこだわりについて聞くことができました。

長澤さんが手がけた受賞作の花瓶・容器「UTSUWA – JUHI SERIES」は、ヤシ科の植物「棕櫚(シュロ)」の樹皮を用いた作品です。廃棄された鉄屑から抽出した「鉄媒染液」と、「柿渋染め」と呼ばれる染色技法を掛け合わせてさまざまな造形を可能にしています。
棕櫚(シュロ)は主に九州南部が原産であるものの、東京や沖縄にも生えているのが特徴。たわしやほうきに使用される素材でもあります。

サステナブルを重視し、日本工芸の再解釈と環境負荷の削減に視点をおいた作品であり、長澤さんは今回の作品の制作に至った経緯として「新しい素材に目を向けるのではなく、昔からある日本の素材に着目して作品づくりをおこなった」と語ってくれました。

日本人が最優秀賞を受賞するという光栄な機会に居合わせることができました。
2025年度のサテリテでは、ほかにもさまざまな若手日本人デザイナーの作品が展示されています。
南出由裕さんの生漆(すきうるし)を使用したインテリア作品

南出由裕さんが手がけた漆(うるし)を使ったランプは、持ち運びができるだけでなくスタンドにも取り付けが可能。実用性が高く、モダンな部屋にも置きやすいデザインが特徴的な作品でした。

また、使用しているのは不純物を取り除いた純度100%の生漆(すきうるし)。素材へのこだわりも感じられます。ランプは内側から光を放つことで、表面の柄がデザインとして際立つのも魅力です。
山澤英幸さんの和紙を使用したインテリア作品

次に、山澤英幸さんのブースでは和紙を使ったインテリアが展示されていました。失われつつある日本の職人技に焦点を当てて、インテリアに落とし込んだ作品。和紙特有の透け感や自然な風合いも感じられるのが魅力です。

作品のひとつであるテーブルには、スプレーを使用して和紙を張り付けているのが特徴。色使いや素材感など、日本の古き良き伝統を現代的な家具と融合させているのが印象的な作品でした。

サローネサテリテでは、さまざまな国の若手デザイナーの作品を見ることができました。将来を担うデザイナーたちの、作品への思いやこだわりを実際に聞けるのもサテリテエリアを訪れる魅力です。
ミラノサローネ2025の会場内で飲食可能なスポット

広い会場のなかには、各所に飲食ブースがあります。ピザやパスタといったイタリアらしいメニューから、ケバブ、寿司、サンドイッチなど店舗によってさまざまな食べ物が並んでいました。ジェラートなどのスイーツやビールなどのアルコール類を提供する店舗もあります。

飲食ブースのスタッフは、イタリアらしい陽気さを持ち合わせているため、会話をして交流もできます。
また、持ち込みも自由です。軽食やスナック類などは、会場入りする前に準備しておくのもおすすめです。
ミラノサローネに行く際の注意点

ミラノサローネは、基本的に会場内の撮影が禁止です。今回は、ブースごとにブランドスタッフに取材許可を頂いて撮影をしました。公式のホームページ内にも撮影に関する禁止事項が記載されているので注意が必要です。
また、一般公開スケジュールは日程が限られているのもポイント。トレードビジターといわれる建築家やデザイナーといった関係者向けの日程もあります。
2026年以降のミラノサローネに参加する場合は、事前に一般公開日を確認するのがおすすめです。
ミラノサローネはグッズも購入できる

会場の一角には、限定のオリジナルグッズの販売もありました。Tシャツやエコバッグ、マグカップなどお土産になるさまざまなグッズが並んでいます。

会場内でも、グッズを手にしている来場者を見かけました。ミラノサローネを訪れた記念に購入するのもおすすめです。
ミラノサローネに向けての準備
ミラノサローネに参加する際は、事前準備も重要です。
ここからは、編集部が実際におこなった事前準備を紹介します。
チケットを事前に購入する

ミラノサローネは、入場チケットを購入する必要があります。当日、会場で購入することもできますが、事前に公式ホームページから購入しておくと入場がスムーズです。
また入場チケットは、購入するタイミングによっても価格が異なります。オンライン・プレセールの期間にチケットを購入しておけば、当日よりも安い価格でチケットを手にすることが可能です。
ミラノ市内のホテルを予約する

開催期間中は、ミラノ市内のホテルを予約するのがおすすめです。市内ではミラノ・デザイン・ウィークが同時期に開催されているため、ホテルは早めの確保が重要。利便性がよいホテルほど期間中は、値上がりしたり早く埋まってしまったりします。
ミラノの中心地でホテルの予約が難しい場合は、中心地から約3キロ圏内を目安にホテル探しをするのもおすすめです。
観光スポットが集結する中心地から約3キロ圏内であれば、電車やトラムを使うと30分程度でアクセスできます。
見たいブランドを絞る

ミラノサローネの会場は非常に広いため、事前にまわりたいブランドを絞っておくのがおすすめです。「Kartell(カルテル)」や「Cassina(カッシーナ)」などの人気ブランドはブースに入るために並ぶ場合があります。
また事前にまわりたいブランドを絞っておくと、広い会場を効率よく見られるのもポイント。休憩のタイミングも決めておけば体力的にも無理なく回れます。
持ち物を確認する

会場を見て回る際は、以下の持ち物を用意しておくのがおすすめです。
- スマートフォン
- チケット
- 筆記用具とメモ帳
- 名刺(身分証明書)
- モバイルバッテリー
- 翻訳アプリ
会場は撮影が禁止であるため、筆記用具やメモ帳を持参しておくと会場内の様子を紙で残すことができます。
またブースで話を聞く場合は、身分証明書として名刺を持っておくのもおすすめ。会話は英語が基本なので、スマートフォンに翻訳アプリを入れておくと、会話ができない場合でも便利です。
電池が切れてしまうトラブルを避けるために、モバイルバッテリーを準備しておくと役立つでしょう。
スーツケースなどの大型荷物は事前に預けることができる

スーツケースなどの大型荷物を持ち歩いている場合は、駅にある「荷物一時預かり場」を利用するのもおすすめです。

料金は2025年4月時点でひとつあたり4ユーロ。ミラノサローネの終了時間まで利用できるので、1日中預かってもらえるのもポイントです。

会場までの移動時は防犯対策をする

ミラノは、ヨーロッパのなかでもスリや置き引きが多発する都市です。移動中や会場内でも防犯対策が必要になります。
とくにスマートフォンやカメラ、財布といった貴重品が狙われやすいです。電車やトラムなどで移動する際は、カバンを前に抱えるのがおすすめ。ショルダーバッグは胸元の位置に調節するのがポイントです。
また、カラビナや小型の南京錠などを使って移動中にカバンを開けられないように対策する方法もあります。便利なグッズは現地で見つかりづらい傾向にあるので、日本国内でそろえておくのがおすすめです。

ミラノの街全体で「フォーリサローネ2025」も同時開催中

ミラノサローネ2025の期間中は、ミラノ市内で「フォーリサローネ2025」が開催されています。フォーリサローネは、店舗やショールームで、インテリア・家具の展示がおこなわれるイベント。街中でもインテリアや家具の最新デザインをチェックできるので、ミラノサローネに出展していないブランドを見て回ることが可能です。
また期間中は、インテリア・家具以外の店舗やメーカーでもさまざまな催し物が開催されています。ミラノサローネとあわせて参加するのもおすすめです。
ミラノサローネ2026の日程

ミラノサローネ2026の開催は、2026年4月21日(火)〜26日(日)です。2025年度に比べて2週間遅い日程になります。2026年度のミラノサローネに参加予定の場合は、早めにホテルや飛行機を押さえておくのがおすすめです。
まとめ
本記事では、ミラノサローネ2025の現地レポートを中心に紹介しました。各インテリアブランドの新作デザインが見られるだけでなく、部屋のコーディネートやレイアウトの参考になるのもミラノサローネに参加する魅力です。ブース内の様子もお届けしたので、来年以降の参加を予定している人はぜひ参考にしてみてください。
RASIK LIFEでは今後もミラノサローネを含む、海外のインテリアイベントやトレンド情報を発信します。インテリアや家具選び、部屋のレイアウトの参考にぜひチェックしてみてくださいね。