インテリア業界が持つさまざまな可能性｜専門学校 東京デザイナー・アカデミー インテリアデザイン学科 横山 朱美先生にインタビュー！
2025年3月04日
インテリア業界と聞いても、どのような仕事があるのか想像しにくい人もいるかもしれません。将来インテリア業界で働きたい人のなかには、具体的な進路について悩んでいる人もいるでしょう。
今回は、インテリアコーディネーターや建築家、コンサルタントとして働きながら、専門学校 東京デザイナー・アカデミー インテリアデザイン学科で講師も務められている横山 朱美（よこやま あけみ）先生にお話を伺いました。
2023年にRASIKを運営する株式会社もしもへ入社後、『RASIK LIFE』編集長に就任。自身が持つ不眠症の悩みをきっかけに、寝具について学ぶ。睡眠検定3級。商品の企画・生産・品質管理・販売までを一貫しておこなっている会社の特徴を活かし、実際に商品をチェックしながら記事を作成。フォロワー数50万人超えのRASIK公式インスタグラムでは、商品のレイアウトなども公開中。
公式：インスタグラム
好きなことを仕事にしたかった
―本日はよろしくお願いいたします。まずは、インテリアに興味を持たれたきっかけを教えてください。
横山：私はもともと学校の体育の先生を目指していて、大学は教育学部に進学しました。しかし、教育実習で教職の道は合わないと思い挫折、その後「自分が好きなことを仕事にしたい」と考えるようになりました。
部屋の間取りやインテリアを考えるのが好きだったので、インテリア関連でお仕事がしたいと思い、母に相談したところ「手に職をつけるのはいいのでは」という言葉で後押しをもらい、リセットしてインテリアの勉強を始めました。
当時、インテリアコーディネーターという仕事は、ハウスメーカーで働く著名なコーディネーターは収入がとても多いという状況でした。キラキラと輝くように活躍する人たちを見て、憧れる気持ちもありましたね。
専門学校で知識を学び、卒業後はオフィスの空間デザイナーとして働きはじめました。社員食堂やエントランス、リフレッシュルームなど女性目線での依頼が多く、そのような時にデザインを担当していました。
オフィスデザインの仕事を選んだのは、商業施設など大きい空間でのお仕事が出来たことと、実は友人と同じ「土日休み」も魅力だったからも少しあります（笑）。
その後、結婚・出産や子育て期間中に建築士とインテリアコーディネーターの資格を取得しつつ、インテリアコーディネーターとしての仕事をスタートさせました。現在は、住宅メーカーの指定設計事務所として、リフォームからコーディネートまでをひとりで担当する「リフォームプランナー」としても活動しています。
担当授業である「インテリアデザイン概論」について
―東京デザイナー・アカデミーで担当されている授業について教えてください。
横山：オフィスデザインやインテリアコーディネート、リフォーム設計やホテルの空間デザインなどの幅広い仕事経験を活かして授業を担当することが多いですね。以前はリノベーションやコーディネート専攻というクラスを任されていましたが、現在はインテリアデザイン概論を担当しています。必要に応じて資格講座を開くこともありました。
インテリアデザイン概論では、5、6人のグループを組んで気になった地域をひとつ選んでもらい、地域活性化や地方創生を目的としたデザインコンセプトを考えていきます。グループワークを通して、学生に「アイデアを練り上げる」経験を積んでもらうのが目的です。
最近はAI技術をものづくりに活かせるようになり、仕事の取り組み方も変化しています。授業も私の体験を反映させ、学生の思考や発想を促す指導内容へ変化させたりしています。
幅広いデザインを学べるのが東京デザイナー・アカデミーの魅力
―講師として働くなかで感じる、東京デザイナー・アカデミーの魅力を教えてください。
横山：インテリアデザイン学科内にも4つの専攻があるのですが、それ以外にもさまざまな学科、専攻があり、一部の授業は学科問わず受講できるようになっています。インテリア学科に入ったとしても、別の学科の幅広いデザインを学べるのが東京デザイナー・アカデミーの魅力です。私も受けたくなるような授業もありますね。
また、企業からのオファーを受け、学生と企業が一緒に作品を作っていく産学連携プロジェクトも特徴的なカリキュラムです。インテリアデザイン学科では、ホテルロビーの水槽デザイン、美容室のファサード（店頭外観）などのリノベーションにも取り組んでいます。
「インテリアビジネスコネクション」で仕事の幅を広げてほしい
―現在横山さんが取り組まれている「インテリアビジネスコネクション」について教えてください。
横山：私は空間プロデューサーという肩書きで、クライアントやメーカーからの依頼にあわせて仕事の幅を広げてきました。現在では、ホテルインテリアのコンサルティングや住宅のリフォーム設計を引き受けることもあります。コロナ渦の厳しい時期も仕事をいただけたのは「前向きに挑戦していく」という気持ちがあったからだと考えています。
一方でインテリアコーディネーターや収納アドバイザーは、その仕事に特化している人が多いのが現状です。専門職だけやれば良いという意識では仕事の幅も決まってしまうことが多く、チームを組んで広い範囲でのプロジェクトに入り、色々な経験をしていく事も必要と考えます。
実際、コロナ渦の時期に私が取り組んでいたホテルリノベーションのアシスタントを募集した際は、応募者のインテリアコーディネーターには必要なスキルを持つ人がいませんでした。最終的に一緒に働いている先生が仕事を引き受けてくださったという状況でした。
インテリアコーディネーター資格を取っても仕事に就けない方、即戦力になるインテリアコーディネーターがいないという企業様などのお声があり、業界の不具合を感じました。
インテリアデザイン産業界においてもマンパワーを改めて見直し、新しいカタチでのコーディネーターやデザイナーの社会進出の機会をサポートしていきたいと考え、その先生と一緒に「インテリアビジネスコネクション（IBC）」を立ち上げました。
IBCはフリーランスや個人企業の情報交換や相談先、メーカーや製作会社などの協力企業、またインテリア業界に近しい税理士や弁護士、保険業界などが集まっている団体です。仕事のなかで自分ができない領域が出てきた際、IBCから伴走してくれる人を探すことができます。また、コミュニティ内に設けたアカデミーのカリキュラムを受講して自身のスキルを伸ばすことも可能です。
IBCメンバーにはコミュニティでの実践での学びも活用し、一度業界を離れたママなど、社会へ再進出する機会をさらに増やしてほしいと考えています。
「暮らし方」から家づくりを考えてみる
―インテリアコーディネーターとして、住宅設計にはどのように取り組まれていますか？
横山：最近は「セカンドオピニオン」に取り組んでいます。住む人の生活動線から考える間取り、インテリアの提案も心掛けていますね。
また、「暮らし方からの家づくり」も意識しています。暮らし方からインテリアを計画し、それを住宅設計に反映させる手法もいいのではないでしょうか。ちょっとしたことが暮らしの豊かさを与えるので、お風呂に掃き出しの窓を付け、そのままバスコートに出られるなど、予算を考えながら間取りを豊かにするのが得意です。
新生活をはじめる学生へのアドバイス
―新生活をはじめる学生へ家具選びのアドバイスをお願いします。
横山：一人暮らしはベッド選びが大切です。ベッドの大きさでほかの家具の大きさや配置も決まります。たとえば6畳ぐらいの部屋であれば、シングルサイズ。
加えて、家具の配置も大切です。ベッドの横にサイドボードやチェストを置いて、ちょっとした間仕切りを置いてみるといいかもしれません。あまり背の高い家具を置くと、部屋に圧迫感を感じてしまうので、ベッドに寝た際の空間の区切りを感じられる程度の家具がおすすめです。
RASIKの家具から感じる「選びやすさ」
―RASIKの第一印象を教えてください。
横山：家具のテイストやカラーが揃っているので、選びやすいと感じました。コーディネートを合わせていきやすいですし、クッションとかベッドカバーを好きな色味に変えられるのも嬉しいですね。
あとは、大型家具に触れる機会があると良さそうだと思います。大型家具は高い買い物なので、失敗するのは避けたいと慎重になる人も多いのではないでしょうか。とくに椅子やソファのようなクッション性のある商品は、座って確かめられるといいですよね。ただ、触れられる機会がなくても、実際の質感がわかるようなサイトの写真の見せ方は素敵だと思います。
インテリア業界にはさまざまな可能性がある
―最後に、インテリア業界で働きたいと考えている人へのメッセージをお願いします。
横山：さまざまな方向から入れる業界でもあり、幅広い仕事の可能性があるので、インテリアが好きという気持ちだけで飛び込んでもいいと思います。
先日もインテリアの仕事の縁で、熱海のライトアップ事業に携わらせていただきました。できあがったイルミネーションやモニュメントを見に行った際に、自分が手がけた仕事をきっかけに熱海を楽しんでいる人たちを見て、とても嬉しい気持ちになりました。写真を撮っている観光客の横で、ニヤニヤしながら人々を眺めてしまいましたね（笑）。自分が携わった仕事が、さまざまな人の楽しみや幸せに繋がっていることを実感できたいい機会でした。
インテリア業界はこれからもさらに広がり、より楽しくなっていくと考えています。業界の変化も楽しみつつ、好きなことを仕事にしてみてほしいですね。
【専門学校 東京デザイナー・アカデミー インテリアデザイン学科 横山 朱美先生】
二級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー1級。
オフィスデザインからインテリア業界に入り、JV現場にて設計業務や工務店に勤務。その後、㈱三井ホームにてリフォーム設計、専門学校講師、ホテルや旅館のインテリアデザインを担当。
リフォーム設計からインテリアまで幅広く手掛け、「人にやさしい煌めきの空間づくり」を得意とし、1,000件以上の案件に携わる。
